原材料表示から免除されている内容
食品を選ぶとき、まず参考になるのは「原材料表示」だと思います。どんな材料が使われているかが一覧で示されているこの表示は、食品の「中身」を知るための重要な手がかりです。
けれども、実はそこに食品に使われているすべての材料や添加物が書かれているとは限りません。
日本の食品表示ルールには、一定の条件を満たした場合に「表示しなくてよい」とされる“免除ルール”があるのです。今回は、そんな「書かれない内容」をご紹介します。

原材料表示は「重さの多い順」
食品の「原材料」は、その食品の重さに占める割合の多い順に記載されます。つまり、先頭に書かれているほど、その食品に多く含まれている材料ということです。たとえば、ポテトチップスなら「じゃがいも(または馬鈴薯)」が先頭に、クッキーやビスケットなら「小麦粉」「砂糖」「バター」などが上位に並びます。
この順番を見るだけでも、その食品が「どんな素材でできているか」を大まかに知ることができます。
表示が免除されるものがある
しかし先にも述べたとおり、食品によってはすべての原材料や添加物が書かれていないことがあります。それは、法律で「表示を省略してよい」と認められている場合です。主な免除ルールは次の3つです。
◆キャリーオーバー
製造時に使用する調味料などにあらかじめ添加されている保存料・着色料などが、最終製品にごく微量だけ残る場合、その添加物は表示しなくてよいとされています。たとえば、工場でおせんべいを作る際に、他社製の醤油を使い、その醤油に保存料が含まれていても、完成したおせんべいの原材料表示には記載しなくてよい、という表示免除のルールがあります。

◆加工助剤
食品の製造工程で一時的に使われたとしても、最終的に製品中に揮発するなどして残らない、またはごく微量しか残らない物質も表示を免除されます。たとえば、豆腐を固める際に使う凝固剤や、果汁の清澄化に使う酵素などがこれにあたります。製造過程で使用しても、最終的に完成した食品に残っていない添加物などは、表示の義務はないのです。
◆栄養強化目的の成分
健康増進を目的として微量添加されるビタミンやミネラル類なども、表示義務が免除されています。たとえば、栄養強化のために加えた栄養素などが該当しますが、多くの場合、メーカーはむしろ栄養強化を消費者にアピールしたいケースが多いため、この表示免除ルールはあまり使われていないルールと言えます。
遺伝子組み換え食品の表示免除
日本では、遺伝子組み換え作物(大豆、とうもろこし、ばれいしょ、綿実、てん菜、アルファルファ、パパイヤ、からし菜)のうち、主な原材料(上位3位以内・全重量の5%以上)に該当する場合に限り、「遺伝子組換え」「遺伝子組換えでない」などの表示が義務付けられています。
ところが、このルールにも例外があります。それが「植物油」と「しょうゆ」です。
植物油やしょうゆは、製造の過程でDNAやタンパク質が完全に分解されてしまい、最新の検査技術をもってしても「遺伝子組み換え由来かどうか」を判定することができません。そのため、これらの食品については遺伝子組み換えの表示が免除されています。
つまり、スーパーに並ぶキャノーラ油やコーン油などには、遺伝子組み換え作物が使われている可能性があっても、それを確認する手段はないのです。特に、安価な植物油は要注意と言えます。
遺伝子組み換え食品を避けたい場合は、「遺伝子組換えでない」「分別管理済み」などときちんと明示された商品や、生協・自然食品店で取り扱う非遺伝子組み換え商品を選ぶのが安心です。

食品の原材料表示は、私たち消費者が安心して食品を選ぶための大切な情報源です。
けれども、キャリーオーバーや加工助剤、植物油・しょうゆのように、ルール上「書かれない」ものも存在することを知っておくことが大切です。
表示にすべてが載っているわけではありませんが、表示を読む力を少し身につけるだけで、見えてくる世界が変わります。一方で、消費者の安心のために、丁寧に原材料を表示してくれているメーカーもあります。自分が信頼できると感じるメーカーを応援していきたいですね。