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2025.04.30

おすすめの本統合失調症の一族

『統合失調症の一族』

遺伝か、環境か

アメリカの作家ロバート・コルカー(Robert Kolker)が2020年に発表したノンフィクション作品です。

この本は、実際に存在したアメリカのギャルヴィン家を中心に描かれています。この家族は12人の子どもを持つ大家族で、そのうち6人の息子が統合失調症を発症しました。この驚くべき実話を通じて、統合失調症という病気の謎、遺伝や環境の影響、そして家族の葛藤や希望が描かれています。

さらに、ギャルヴィン家のケースは、精神医学の研究においても非常に貴重な事例となり、統合失調症の遺伝的要因を探る研究が進むきっかけにもなりました。

本書の特徴としては、

  • 統合失調症に関する最新の医学的知見と、

  • 一家の壮絶な歴史を描く人間ドラマの両面が深く掘り下げられていること。

オプラ・ウィンフリーのブッククラブにも選ばれ、世界的に話題になった作品です。


久々頭の中が「早く読みたい」で一杯になる本です。構成がものすごく秀逸。副題の「遺伝か、環境か」を読みながらずっと読者に考えさせる構成です。なので読んでいる間「あれ?これが統合失調症に関係したのか?」と至る所で思わされ、「早く結果が知りたい!読み切りたい!」になるのです。心理学、遺伝学、薬学などの各界の発展や汚点を同時に書きながら、12人中6人の子どもが統合失調症になった遺族を元に、並外れた調査を行なっているノンフィクション作品です。

 

統合失調症に対する理解を深めるだけでなく、「家族とは何か」「精神疾患とどう向き合うか」というテーマでも多くの示唆が得られる一冊ですよ。

 

▷🔗統合失調症の一族