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2026.10.5

パーム油とヤシの木マークの話

商品パッケージに表示された「ヤシの木」のマークを見たことはありますか?

 

20年以上前、心臓疾患のリスクがあるとして「食べるプラスチック」などと呼ばれ、問題視されていた「トランス脂肪酸」。実は数年前にアメリカでの表示義務化をきっかけに、日本でも食品メーカーが自主的に使用を減らし、現在では多くのファストフードや加工食品から姿を消しています。

 

しかし、そこで台頭してきたのが「パーム油」です。パーム油は原材料において「植物油」とも表記されることが多く、サクッとした揚げ上がりと安価さから、ファストフード店や多くの外食チェーンで使用されるようになりました。実はトランス脂肪酸がほとんどないという利点もあり、代替油として一気に広まった背景があります。

ちなみに原材料表示では、「植物油」以外にも「植物油脂」「ショートニング」「マーガリン」「界面活性剤」といった名前で登場することも多く、知らないうちに口にしていたり、肌につけていたりすることも少なくありません。また「ヤシ油」と混同されがちですが、ヤシ油はココナッツから採れる油のことをいいます。パーム油の原料は、アブラヤシという別の植物です。

 

しかし、パーム油もまた、飽和脂肪酸が多く含まれていることから、大腸がんや糖尿病のリスクが指摘されています。それだけではなく、より深刻なのが環境への影響が大きいことです。日本人に高く売れるという理由から、パーム油の原料であるアブラヤシを植えるために、東南アジアの熱帯雨林が大規模に伐採されています。急激な森林開発のため、野生動物が住処を追われたり、温室効果ガスの排出などが大きな問題になっています。中でも、ボルネオ島では過去20年間で15万頭ものオランウータンが行き場を失い、絶滅の危機に瀕している現実があります。

こうした状況を受けて、WWF(世界自然保護基金)などの団体は、持続可能なパーム油の生産を目指して「RSPO認証制度」を作りました。それが、パッケージに表示されているヤシの木マークです。RSPOとは「持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)」の略で、環境に配慮した方法で生産されたパーム油を使っている製品には、ヤシの木のロゴが表示されているのです。

ただ、だからといって「パーム油を一切使わないほうがいい」という単純な話でもありません。パーム油は、同じ面積の畑からとれる油の量が他の植物油よりずっと多く、仮に大豆油などに置き換えようとすると、今よりもさらに広い土地を切り拓く必要が出てきてしまうと言われています。つまり、パーム油そのものが悪者なのではなく、「どう作られたものを選ぶか」が本質的な問題です。

 

だからこそ、ヤシの木マークがついた商品を選ぶことが、熱帯雨林や野生動物を守ることに繋がります。食品だけでなく、洗剤や化粧品などにもパーム油は使われているので、ぜひ「ヤシの木マーク」があるかな?とチェックしてみてくださいね。自分のからだだけでなく、環境や動物にもやさしい方法で作られたものを選んで選んでいくこと。それが、これからの未来を作っていくことだと思っています。